「本番の朝に熱が出たら、もう終わりですか」。毎年11月になると、小6の保護者からこの質問が増えます。結論から言うと、追試験を設けるかどうかは学校ごと、年度ごとに違います。つまり「出たとこ勝負」にせず、今のうちに志望校の対応を調べて、受験日程に組み込んでおくことが対策になります。

志望校選定の段階で勝負は決まっている、というのが私の持論ですが、これは感染症への備えにも当てはまります。この記事では、確認できた公開情報の範囲で、調べる項目と家庭の動き方を整理します。

この記事の結論

  • 追試験の有無は学校・年度で異なる。「別室受験のみ」「追試なし」の学校もある
  • 確認すべきは募集要項の3項目(追試の有無、別室受験の可否、診断書などの手続き)
  • インフルエンザの出席停止は「発症後5日を経過、かつ解熱後2日」が目安。受験でどう扱うかは学校の判断
  • 追試に頼らず、日程を分散した併願設計で備える

追試験の有無は学校で分かれる

調べた範囲では、中学受験で追試験を行う学校の全体割合を示す公的な統計は確認できませんでした。確認できたのは個別校の募集要項です。たとえば尚絅学院中学校は、インフルエンザ罹患者を含む本試験を受けられない受験生向けに、後日の入試回を追試験として案内していた年度がありました。一方、近畿大学附属中学校は、年度によって対応が変わっており、2026年度入試では別室受験を認める一方、感染症で本試験を受けなかった場合の追試験は実施しないと明記していました。2022・2023年度には、罹患の疑いがある受験生に約2週間後の追試験を案内していたとされます。

ここから読み取れるのは、同じ学校でも年度によって方針が変わるという点です。昨年の情報や塾の先輩の話をそのまま信じず、今年度の募集要項を必ず確認してください。

募集要項で確認する3項目

確認項目見る場所チェックの意味
追試験の有無と日程募集要項の「欠席・追試」欄追試なしなら、別の入試回で受け直す設計が必要
別室受験の可否注意事項、受験上の配慮欄軽症や微熱のときの選択肢になるか
申請手続き当日の連絡先、診断書の要否、期限当日朝に慌てないための事前準備

私が志望校を整理するときは、偏差値表ではなく過去問との相性で見るのと同じ手順で、この3項目も一覧表にします。出願前の11月に表にしておけば、併願校の順番を決めるときの材料になります。

表に書き込む例

  • 第一志望:追試なし/別室受験可/当日朝8時までに電話
  • 併願A:追試あり(本試験の約2週間後)/診断書必要
  • 併願B:記載なし → 出願前に学校へ問い合わせ

「記載なし」は問い合わせの対象です。電話で確認するときは、「感染症で本試験を受けられない場合の対応を教えてください」と聞けば足ります。

出席停止の基準を知っておく

学校保健安全法施行規則では、インフルエンザの出席停止期間は「発症後5日を経過し、かつ解熱した後2日を経過するまで」(幼児は3日)とされています。数え方は、発症した日と解熱した日をそれぞれ0日目として計算します。発症日は受診日ではなく、症状が始まった日です。

注意したいのは、これが在籍校の出席停止の基準であって、入試会場での受験可否を直接決めるものではない点です。受験の可否は学校ごとの判断になります。基準を満たしていても、別室受験を認めない学校や、診断書を求める学校があります。「5日たったから大丈夫」と自己判断せず、必ず志望校に確認してください。

日程を分散して備える併願設計

追試に頼れない学校がある以上、家庭でできる備えは日程の分散です。

  1. 第一志望の受験日を複数回取る:同じ学校に複数回の入試がある場合、1回目で受けられなくても2回目に回れる可能性があります
  2. 連続日の詰め込みを避ける:発症から回復まで5日以上かかる前提で、1日休みを置いた日程を組みます
  3. 追試ありの学校を1校は入れる:第一志望が追試なしでも、追試がある併願校があれば進学先がゼロになるリスクは下がります

併願校の組み方は別の記事(併願校の選び方)で詳しく書いていますので、日程と相性の全体像はそちらも参考にしてください。

家庭の感染対策は「やることを絞る」

親が動く範囲を最初に決める、というのは感染対策でも同じです。やることを増やしすぎると、親も子も疲れます。私が家庭に勧めるのは次の4つに絞ることです。

  • 家族全員の流行前の予防接種を検討し、かかりつけ医に時期を相談する
  • 帰宅後の手洗いとうがいを習慣にする
  • 人混みへの外出は、模試や講習など必要なものに限る
  • 睡眠を削らない(夜更かしは免疫面でも得策ではありません)

わが家でも長女の受験期には、私が朝5時に起きて自分の外出予定を見直しました。夜のランニングも、冬の人混みを避けて時間帯を変えました。親が持ち込むリスクを減らすのは、子の勉強量を増やすより確実に効く行動です。

当日朝に熱があったときの動き方

  1. 体温を測り、症状を記録する(時刻も残す)
  2. 事前に控えた連絡先へ、指定の時刻までに電話する
  3. 学校の指示(別室受験、受診、診断書、追試の案内)に従う
  4. 受験の可否を子の前で感情的に議論しない

子どもにとっていちばん負担になるのは、親の動揺です。「もし発症しても、手順は決めてあるから大丈夫」と先に伝えておくだけで、本人の不安は下がります。

よくある質問

Q1. 追試験がある学校を選んだほうがいいですか。

追試の有無だけで志望校は決めません。過去問との相性や通学を優先し、追試の有無は併願の組み方で補います。

Q2. 微熱程度なら受験できますか。

別室受験を認める学校もありますが、判断は学校ごとです。募集要項に記載がない場合は、出願前に学校へ問い合わせてください。

Q3. 出席停止期間が終われば受験できますか。

出席停止の基準は目安であり、入試での扱いは学校が決めます。診断書の提出を求められる場合もあります。

Q4. いつまでに確認すればいいですか。

出願が始まる前の11月中が目安です。併願日程を決める前に、全受験校の対応表を作ってください。

参考文献