夏休みが近づくと、共働き家庭に押し寄せる「40日間、どうする?」問題。学童保育に預けるのが基本とはいえ、お盆休み・学童のイベント日・子どもの「もう飽きた」宣言……。実際に育休取った身として言うと、学童だけで夏休み全日程をカバーできると思っていた自分は甘かった、と断言できます。
この記事では、時短復職しながら年少の息子と過ごす僕が、妻と一緒に設計した「3層の夏休み設計」──①夫婦シフト ②有給・制度の戦略的配分 ③外部リソースの併用──をステップ形式で解説します。
なぜ「学童だけ」では40日間もたないのか
公設学童は夏休み中も開所していますが、以下の「空白日」が発生します。
- お盆期間の閉所(多くの自治体で8月13〜15日の3日間)
- 学童の行事日(遠足やイベントで預かり時間が変則になる日)
- 子どもの体調不良(夏風邪・手足口病・ヘルパンギーナなど)
- 子どもの「飽き」(小1〜2は3週目あたりで限界が来る報告が多い)
これらを足すと、40日間のうち実質8〜12日は学童以外の対応が必要になります。「なんとなく」で始めると、結局毎朝のLINEで「今日どっちが休む?」のバトルが再燃するのがオチです。
ステップ1:夫婦シフトを「月初に組む」仕組みにする
上司にどう切り出したかなんですけど、僕の場合、保育園の看護当番制(奇数週パパ・偶数週ママ)の経験が夏休み設計にも効きました。毎回判断するから揉める。仕組みにすれば感情の消耗を最小化できる──これは看護当番制の教訓そのままです。
具体的な組み方
- 7月第1週の日曜に夫婦で30分のカレンダー会議を行う
- 40日間を週単位で俯瞰し、「学童OK日」「空白日」「イベント日」を色分け
- 空白日ごとに一次対応者を割り振る(奇数週パパ/偶数週ママのベースルールを適用)
- 「絶対動けない日」だけ前週日曜に交換するルールを設定
朝6時に起きて息子の朝食を準備し、8時半に保育園に送る──この日課がある僕の場合、出社日は17時退勤が死守ラインなので、シフトの切り方が限られます。だからこそ事前設計が命です。
ステップ2:有給・看護等休暇・制度を「戦略的に配分」する
ここが最も見落とされやすいポイントです。40日間のうち親が在宅する日を捻出するリソースは、有給だけではありません。
使えるリソース一覧
| リソース | 日数の目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 年次有給休暇 | 夫婦で各2〜4日 | 冬の感染症シーズン用に温存するため、夏は最小限に |
| 子の看護等休暇(2025年4月改正) | 夫婦計10日 | 対象が小学校3年生修了まで拡大。学級閉鎖・感染症も取得事由に |
| 夏季特別休暇(会社独自) | 3〜5日 | お盆にまとめず分散取得できるか就業規則を確認 |
| テレワーク日 | 週1〜2日 | 2025年改正法で育児中のテレワークが柔軟措置に。完全な休暇にはならないが「在宅見守り」は可能 |
| フレックスタイム | 通年 | 朝夕のコアをずらして学童の送迎に合わせる |
配分の考え方
僕が妻と実践しているのは「看護等休暇を先に使い切り、有給は冬に温存」するルールです。夏休みの体調不良(手足口病・ヘルパンギーナは7〜8月がピーク)にはまず看護等休暇で対応し、計画的な休みに有給を充てる。こうすると有給の「予測不能な消化」が防げます。
2025年4月施行の改正育児介護休業法で、子の看護等休暇の対象年齢が小学校3年生修了までに拡大されました。取得事由に「感染症による学級閉鎖」「入学式・卒園式等への参加」も加わり、夏のプール熱による出席停止にも使えるようになっています。
ステップ3:外部リソースを「週1スロット」で組み込む
夫婦の制度だけで全日程を埋めようとすると、どちらかに偏りが出ます。週に1スロットでいいので外部リソースを入れると、シフトに余裕が生まれます。
費用帯別の選択肢
| 選択肢 | 費用目安 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ファミリーサポート | 700〜900円/時間 | 自治体運営で安心、送迎にも対応 | 事前のマッチング登録が必要(6月中に完了推奨) |
| 民間サマースクール | 5,000〜15,000円/日 | 英語・プログラミング等の学びあり | 人気は5月で埋まる。早期申込必須 |
| 祖父母の協力 | 0円(交通費等除く) | 子どもが安心、柔軟に対応可 | 依存しすぎると関係悪化。週1〜2日が限度目安 |
| 民間学童(スポット利用) | 2,000〜5,000円/日 | 通常学童の延長線で利用しやすい | 空き状況を6月末までに確認 |
時短復職のリアルは、使える時間が限られているからこそ「お金で時間を買う」判断が必要になる場面があることです。ただし、月額換算で家計に無理がないラインを妻と事前に決めておくのが大事です。わが家の場合、夏休み用の外部リソース予算は月1.5万円を上限にしています。
実践例:わが家の2026年夏カレンダー設計
参考までに、僕ら夫婦の今年のシフト設計を公開します(息子は年少・保育園なのでまだ小学生の「40日問題」は先ですが、お盆休み+保育園の夏季保育縮小日に同じ手法を使っています)。
- お盆3日間:有給1日ずつ+テレワーク1日の組み合わせ
- 保育園の夏季保育縮小日:奇数週パパ・偶数週ママの当番制をベースに、テレワーク日を重ねて対応
- 前週日曜の5分チェック:翌週の「絶対動けない日」を確認し、必要なら交換
この設計の根幹にあるのは、「どっちが休む?」を毎回判断するのではなく、仕組みで決めることです。仕組みにすれば感情の消耗を最小化できる──これは看護当番制から学んだ一番の教訓でした。
6月中にやっておくべき準備チェックリスト
- □ 学童の夏休みスケジュール(閉所日・イベント日)を入手
- □ 就業規則で夏季休暇の分散取得可否を確認
- □ テレワーク・フレックスの夏季運用ルールを上司に確認
- □ ファミリーサポートの会員登録&事前打ち合わせ完了
- □ サマースクールの申込み(人気は5月〜6月初旬で締切)
- □ 祖父母に協力可能な日程を打診
- □ 夫婦カレンダー会議(7月第1週日曜)の日程を確保
- □ 夏休み用外部リソース予算を夫婦で合意
よくある質問(FAQ)
Q1. 子の看護等休暇は夏休みの預け先がないときにも使える?
子の看護等休暇は、子の病気・けが・予防接種・健診・感染症による出席停止等が取得事由です。「預け先がない」だけでは取得事由に該当しないため、有給休暇や夏季特別休暇で対応する必要があります。ただし、夏に流行する手足口病やヘルパンギーナで出席停止になった場合は看護等休暇の対象です。
Q2. ファミリーサポートは夏休みだけのスポット利用できる?
可能です。ただし、事前の会員登録とマッチング(提供会員との顔合わせ)が必要です。夏休み直前に登録すると希望日に提供会員が見つからないことがあるため、6月中に登録・マッチングを完了しておくのが安心です。料金は1時間700〜900円程度が目安で、自治体によって異なります。
Q3. テレワーク日に子どもが在宅の場合、仕事にならないのでは?
年齢によります。年少〜年長であれば集中ブロックを1日3本に絞る前提で計画し、パーテーションで視線を遮るだけでも割り込み頻度は体感で半減します。小学生なら午前中に宿題タイム+午後に動画や読書の時間割を組むことで、親の集中時間を確保できます。朝のSlackで「今日は子どもが在宅のため集中ブロック3本で稼働」と宣言しておくと、上司・チームの期待値調整にもなります。
Q4. 夫婦で有給の残日数に差がある場合、どう調整する?
月末の休暇棚卸しミーティング(5分)で有給・看護等休暇の消化日数を共有し、残日数が少ない方の翌月シフトを減らす調整ルールを設計するのがおすすめです。数字で見える化すれば「私ばかり休んでいる」という感情論ではなく事実ベースの会話になります。
Q5. シフト設計しても子どもの急な体調不良で崩れませんか?
崩れます。ただし、シフトのベースがあるからこそ「崩れたときの立て直し」が速くなります。急な体調不良は当番制(奇数週パパ/偶数週ママ)で一次対応者が自動決定し、長引く場合は午前・午後の半日シフトで対応。設計がない状態で崩れるのと、設計があって崩れるのとでは、判断コストと夫婦間の摩擦がまったく違います。
まとめ
共働き家庭の夏休みを乗り切るポイントは「頑張る」ではなく「仕組みを作る」ことです。
- 夫婦シフト:奇数週/偶数週ベースの当番制で判断コストをゼロにする
- 制度の戦略配分:看護等休暇を先に消化、有給は冬に温存、テレワーク・フレックスを併用
- 外部リソース:週1スロットで予算内に収まる選択肢を6月中に確保
40日間は長いですが、3層の設計があれば「毎朝の交渉」から解放されます。夏休み前の今こそ、夫婦で30分のカレンダー会議を開いてみてください。
参考文献
- 厚生労働省「育児・介護休業法の改正について(令和7年4月1日施行)」
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001259367.pdf - マイナビ転職 ミーツキャリア「共働き家庭の夏休み、どう乗り切る?」
https://meetscareer.tenshoku.mynavi.jp/entry/data-73 - 学研教室「共働き家庭の夏休み 子どもの預け先と働き方の工夫」
https://www.889100.com/column/column087.html - キッズライン「共働き子育て家庭の夏休み、今年はどう過ごす?」
https://kidsline.me/magazine/ikuji/867






