FP相談でよく聞かれるのが「教育資金はどこに預ければいいですか?」という質問です。
正直に言います。2年前まで、この質問への答えはシンプルでした。「どこに預けてもほとんど変わりません」──金利0.001%の時代は、500万円を預けても年間の利息はたった50円。預け先を悩む意味がなかったんです。
でも、2026年6月現在、状況は一変しています。メガバンクの普通預金金利は0.3%、ネット銀行の高金利普通預金は0.75%、そして個人向け国債変動10年は1.74%。同じ500万円でも、預け先次第で年間の利息が1,500円〜約8.7万円と、50倍以上の差が生まれる時代になりました。
普通預金に「入れっぱなし」で失っている金額を計算してみる
うちの長女のとき実際に、教育資金約500万円をメガバンクの普通預金に置いたままにしていた時期がありました。当時は金利がほぼゼロだったので仕方なかったのですが、今の金利環境で同じことをしていたら、かなりもったいない状況です。
教育資金500万円の預け先による年間利息の差を見てみましょう(税引前)。
| 預け先 | 金利(2026年6月) | 500万円の年間利息 |
|---|---|---|
| メガバンク普通預金 | 0.3% | 約15,000円 |
| ネット銀行普通預金(高金利型) | 0.75% | 約37,500円 |
| ネット銀行定期預金(1年) | 約1.2% | 約60,000円 |
| 個人向け国債 変動10年 | 1.74% | 約87,000円 |
メガバンク普通預金と個人向け国債では、年間で約7.2万円の差が出ます。もちろん利息には約20%の税金がかかりますが、それでも税引後で約5.7万円の差。5年続けば約28万円──公立中学の制服代と部活の初期費用をまかなえる金額です。
教育資金は「使う時期」で3つに分けて預ける
結論から言うと家計の見直しが先ですが、それと並行して取り組めるのが「預け先の最適化」です。ポイントは、教育資金を使う時期で3つに分類すること。
【1〜2年以内に使う】ネット銀行の普通預金(金利0.5〜0.75%)
入学金、制服代、受験料など、1〜2年以内に確実に使うお金はいつでも引き出せることが最優先です。ネット銀行の高金利普通預金なら、メガバンクの2倍以上の金利でありながら、流動性を確保できます。
あおぞら銀行BANK支店は2026年2月から普通預金金利を年0.75%に引き上げました(100万円まで。超過分は0.5%)。ただし、高金利の適用条件は銀行ごとに異なるため、口座開設前に必ず確認してください。
【3〜5年先に使う】ネット銀行の定期預金(金利約1.0〜1.3%)
中学や高校の入学など、3〜5年先に使う資金には定期預金が適しています。2026年6月現在、ネット銀行の1年定期で税引前1.0〜1.3%程度の金利が出ています。楽天銀行のキャンペーン定期(1年もの)で税引後約0.96%、SBI新生銀行で税引後約1.06%といった水準です。
定期預金は中途解約すると金利が大幅に下がるため、「確実に3年以上使わない」と言い切れる金額だけを預けるのがコツです。
【5年以上先に使う】個人向け国債 変動10年(金利1.74%)
大学入学など5年以上先に使う資金には、個人向け国債の変動10年が有力な選択肢です。2026年6月募集分の金利は1.74%(税引後約1.39%)で、固定5年(1.86%)や固定3年(1.51%)も選べます。
個人向け国債のメリットは3つあります。
- 元本保証:国が元本を保証するため、教育資金のような「減らせないお金」に最適
- 変動金利:金利が上がればそれに連動して利率も上がる(変動10年の場合)
- 1年後から換金可能:購入から1年経てばいつでも換金できる(直前2回分の利子が差し引かれる)
ただし、購入から1年間は換金できない点に注意してください。5年以上先に使う資金に限定すべきなのは、この換金制限があるからです。
わが家の実践例:3児×3分類の預け先マップ
朝5時に起きて長男と算数をやる前に、私がExcel家計簿でやったのが「預け先シミュレーションシート」の追加です。3人の子どもの教育費を使う時期ごとに仕分けして、それぞれの預け先を振り分けました。
| 子ども | 使う時期 | 金額目安 | 預け先 |
|---|---|---|---|
| 長男(小5→中学) | 1〜2年以内 | 約80万円 | ネット銀行普通預金 |
| 長女(小2→中学) | 3〜5年先 | 約120万円 | ネット銀行定期預金 |
| 次女(年中→小学校〜) | 5年以上先 | 約200万円 | 個人向け国債 変動10年 |
| 3人共通(大学資金) | 7年以上先 | 約100万円 | 個人向け国債 変動10年 |
この仕分けをする前は、500万円をメガバンクの普通預金に入れたままで、年間利息は約3,000円程度でした(金利0.001%時代)。仕分け後は、年間約5万円の利息収入に増えました。同じ元本なのに、預け先を変えただけで年間約4.7万円の差が出たんです。
預け先シフトの3ステップ
「やったほうがいいのはわかるけど、面倒そう」──FP相談でもそう言われます。でも、実際にやることは3ステップだけです。
ステップ1:教育資金を「いつ使うか」で仕分ける(10分)
子どもの年齢と進路予定から、教育費を「1〜2年以内」「3〜5年先」「5年以上先」に分類します。ノートに書き出すだけでOK。正確な金額がわからなくても、おおまかな目安で構いません。
ステップ2:預け先を決めて口座を開設する(30分〜)
ネット銀行の口座開設はスマホで完結するものがほとんどです。個人向け国債は証券会社やネット銀行の口座から購入できます。口座開設自体は無料なので、まずは1つ始めてみてください。
ステップ3:資金を移動する(毎月 or 一括)
一括で移動してもいいですし、毎月の積立分から新しい預け先に回す方法でもOKです。大切なのは「仕組みを作る」ことです。FP相談で見てきた限り、一度仕組みを作った家庭は放置していても利息が積み上がっていきます。
よくある3つの注意点
1. ネット銀行の高金利は「条件付き」のケースが多い
給与受取口座に指定する、証券口座と連携するなど、高金利の適用には条件があることがほとんどです。口座開設前に条件を確認し、継続的に条件を満たせるかをチェックしてください。
2. 定期預金の中途解約ペナルティ
定期預金を中途解約すると、金利が普通預金並みまで下がります。「3年は使わない」と確信が持てない場合は、無理に定期預金にせず、普通預金に留めておくのが安全です。
3. 個人向け国債は1年間の換金制限がある
購入後1年間は原則として換金できません。急な出費に備えて、生活防衛資金と教育資金の「1〜2年以内に使う分」は必ず別に確保してから購入してください。
金利上昇局面では「変動型」が有利な理由
FP相談で「固定と変動、どっちがいいですか?」と聞かれることが増えました。公的データの裏付けとしては、日銀が2024年3月にマイナス金利を解除して以降、政策金利は0%→0.25%→0.5%→0.75%と段階的に引き上げられています。
個人向け国債の変動10年は半年ごとに金利が見直されるため、今後さらに金利が上がれば利率もそれに連動して上がります。一方、固定型は購入時の金利で満期まで固定されます。
2026年6月時点では固定5年(1.86%)のほうが変動10年(1.74%)より高金利ですが、今後も利上げが続くと予想される局面では、変動10年のほうが長期的に有利になる可能性があります。ただし、金利動向は誰にも正確に予測できないため、固定と変動を半々で持つのも現実的な選択肢です。
教育資金の預け先は年1回見直す
わが家では毎年4月の「教育資金棚卸しデー」に、預け先の金利も一緒にチェックしています。金利環境は変わりますし、子どもが1歳大きくなれば「使う時期」の分類も変わります。
やることはシンプルで、各口座の残高と適用金利を確認し、分類にズレがないかを見るだけ。10分もあれば終わります。
FAQ
Q1. 新NISAで運用したほうが利回りは高いのでは?
A. 利回りの期待値は確かに新NISAのほうが高いです。ただし、教育資金は「使う時期が決まっているお金」です。5年以内に使う分は元本割れリスクを取るべきではありません。5年以上先の分については、リスク許容度に応じて新NISAと個人向け国債を併用する方法もあります。
Q2. 個人向け国債はどこで買えますか?
A. 銀行(メガバンク・ネット銀行とも)や証券会社で購入できます。SBI証券や楽天証券などのネット証券が手軽です。最低購入金額は1万円からで、毎月募集があります。2026年6月募集分の申込期間は6月4日〜6月30日、発行日は7月15日です。
Q3. すでに学資保険に入っていますが、預け先を見直す必要はありますか?
A. 学資保険の満期金が教育資金の全額をカバーしている場合は、そのままで問題ありません。ただし、学資保険でカバーしきれない部分(入学金の一時費用、塾代など)を普通預金に置いているなら、その分の預け先を見直す価値はあります。
Q4. 金利がまた下がったらどうすればいいですか?
A. 個人向け国債の変動10年は最低金利0.05%が保証されているため、ゼロ金利に戻っても元本割れはしません。定期預金は満期まで持てば契約時の金利が適用されます。いずれにしても、年1回の棚卸しで金利環境を確認する習慣があれば、大きな判断ミスは防げます。
参考文献
- 財務省「個人向け国債 変動10年(第175回)の発行条件」(2026年6月)
- 日本銀行「金融政策決定会合の運営」政策金利の推移(2024年3月〜2026年6月)
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」(2025年)
- 各銀行公式サイト:メガバンク3行の普通預金金利改定のお知らせ(2026年2月)






