育休から復職して時短勤務をスタートさせた日の朝、僕は途方に暮れていました。6時に起きて、子どもの朝食を作り、着替えさせ、保育園に送り届け、そこから電車に乗って会社に向かう。実際に育休取った身として言うと、育休中はなんとなく「復職したら時短勤務でうまくやれるだろう」と楽観していたんですが、現実はそう甘くなかった。
今回は、半年間の育休を経て時短復職した僕(橘)が、「朝が回らない問題」をどう解決していったか、リアルな試行錯誤をお伝えします。
時短勤務でも「朝」は時短にならないという現実
時短勤務の制度自体は、育児・介護休業法で「3歳未満の子を養育する労働者」が対象と定められています。多くの企業では、勤務時間を1〜2時間短縮する形で運用されていて、僕の場合は10時〜17時の7時間勤務でした。
ところが、「10時出社」と聞くと余裕がありそうに感じますよね。でも武蔵小杉から会社まで通勤に約50分かかる。逆算すると9時には家を出なきゃいけない。保育園の開門は7時半で、朝食・着替え・連絡帳記入を考えると、結局6時起きが必須でした。
育休中は子どものリズムに合わせて7時に起きていたのに、復職した途端に1時間前倒し。しかも子どもは「今日保育園行かない」とぐずる日もある。これが毎朝続くと、正直メンタルにきます。
僕が実際に組んだ「朝のタイムライン」──3回の改訂を経て
最初の1週間は完全に破綻しました。そこから妻と何度も話し合い、最終的にたどり着いたのが以下のタイムラインです。
【v1】復職直後(破綻バージョン)
- 6:00 起床 → 朝食準備
- 6:30 子ども起こす → 着替え・朝食
- 7:15 保育園の準備(連絡帳・持ち物チェック)
- 7:30 保育園に出発
- 8:00 保育園到着・預け
- 8:10 駅へダッシュ
- 9:00 出社……のはずが、子どもが泣いて離れず8:30に
問題は明白でした。「子どもが予定通り動く」前提のスケジュールは、年少児には通用しません。
【v3】現在の安定バージョン
- 5:50 僕が起床 → 朝食準備+自分の身支度
- 6:20 子どもを起こす → リビングで朝食(テレビは消す)
- 6:50 着替え(前夜に服をセット済み)
- 7:00 連絡帳は前夜に9割記入(朝は体温だけ)
- 7:10 出発(保育園まで自転車7分)
- 7:20 保育園到着 → 先生に引き渡し
- 7:30 駅へ(ここで10分のバッファがある)
- 8:20 会社最寄り駅 → カフェで始業準備
ポイントは3つ。①前夜にできることは全部やる、②子どもの起床を10分早める(一気にやると機嫌が悪くなるので1週間かけて)、③バッファを「削る」のではなく「最初から確保する」です。
夕方の「お迎えダッシュ」問題──17時退勤で18時閉園に間に合うか
朝だけでなく、夕方も大きなハードルです。17時に退勤して、保育園の延長保育なしの最終お迎え18時半に間に合わせるには、退勤後に一切寄り道できない。
上司にどう切り出したかなんですけど、僕は復職面談のときに「17時以降のMTGには参加できません」と明言しました。最初は気まずかったです。でも、曖昧にしておくと「この会議だけ……」が積み重なって破綻する。
実際、復職後に僕の上司が言った一言が印象的でした。「17時で帰るのは分かってるから、逆に16時までに相談したいことがあれば遠慮なく声かけて」と。これは、こちらが先に制約を明示したから出てきた言葉だと思っています。
2025年4月スタート「育児時短就業給付金」を見逃すな
時短勤務で一番つらいのは、やはり収入の減少です。フルタイムから時短にすると、単純に労働時間に比例して給与が下がる会社がほとんど。僕の場合、月収で約5万円のダウンでした。
ここで知っておきたいのが、2025年4月から始まった「育児時短就業給付金」です。これは2歳未満の子を育てるために時短勤務をしている雇用保険加入者に、時短中の賃金の約10%が支給される制度です。
給付の条件と計算方法
- 対象: 2歳未満の子を養育するために所定労働時間を短縮して就業する雇用保険被保険者
- 支給額: 時短就業中に支払われた賃金額 × 10%(時短前の賃金の90%以下に下がっている場合)
- 計算例: 時短前の月収が35万円、時短後が28万円の場合 → 28万円 × 10% = 約2.8万円/月が給付
- 申請: 事業主を通じてハローワークに申請(被保険者本人の手続きは基本不要)
月2〜3万円と聞くと少なく感じるかもしれませんが、年間にすると約30万円。保育園の保育料の一部を補填できる金額です。
注意点として、時短開始後に賃金が下がっていない場合や、支給額が最低限度額(2,295円)以下の場合は対象外です。会社の人事部に「育児時短就業給付の手続きをしてほしい」と伝えるだけなので、時短勤務中のパパ・ママは必ず確認してください。
2025年10月施行の「柔軟な働き方措置」も追い風
さらに、2025年10月からは改正育児・介護休業法の「柔軟な働き方を実現するための措置」が施行されています。3歳以上〜小学校就学前の子を養育する労働者に対し、企業は以下の5つの措置から2つ以上を選んで講じる義務があります。
- 始業時刻の変更(フレックスタイム・時差出勤)
- テレワーク(月10日以上)
- 保育施設の設置運営等
- 養育両立支援休暇の付与(年10日以上)
- 短時間勤務制度
時短復職のリアルは、こうした制度を「知っているかどうか」で大きく変わります。特にテレワークとフレックスの組み合わせは、朝のタイムラインを劇的に楽にしてくれる。僕も週2回のテレワーク日は、保育園送りのあと自宅で9時から業務開始できるので、通勤の50分がまるまる浮きます。
「保育園送迎パパ同士」の情報交換が意外と大事
これは僕の個人的な実感なんですが、保育園の送迎時に他のパパと立ち話する時間が、思った以上に役に立っています。「うちの会社はフレックスが使えるようになった」「延長保育の申請方法が変わったらしい」みたいな情報が、何気ない会話から手に入る。
ママ同士のネットワークに比べると、パパ同士の情報交換ってまだまだ少ない。でも、同じ保育園に通わせている以上、抱えている問題は似ています。送迎の1〜2分で「最近どうですか?」と声をかけるだけで、意外な制度や工夫を知れることがあります。
育休中に準備しておけばよかった3つのこと
振り返って、「育休中にやっておけば復職がもっとスムーズだった」と思うことが3つあります。
1. 朝ルーティンの「予行演習」
復職1ヶ月前から、本番と同じ時間に起きて保育園に送る練習をしておくべきでした。子どもの起床時間を急に変えるのは無理があります。
2. 上司との復職面談を「早めに」セット
僕は復職2週間前に面談をしましたが、これでは遅かった。1ヶ月前に「時短で復帰するが、業務範囲はどうなるか」を擦り合わせておくと、初日からの不安が全然違います。
3. 家事の「夫婦シフト表」を書面化
口約束で「朝は僕、夜は妻」と決めていましたが、実際に復職すると例外が頻発します。Googleスプレッドシートでもホワイトボードでも何でもいいので、「誰が・何時に・何をやるか」を見える化しておくと、揉めごとが格段に減ります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 男性でも時短勤務は取れますか?
はい。育児・介護休業法の短時間勤務制度は性別を問わず、3歳未満の子を養育する労働者であれば利用できます。法律上、男性だから断られるということはありません。ただし、日雇い労働者や所定労働時間が6時間以下の労働者は対象外です。
Q2. 育児時短就業給付金は、パパが時短勤務をしている場合も対象ですか?
対象です。2歳未満の子を養育するために時短勤務をしている雇用保険被保険者であれば、男女問わず支給されます。会社の人事・総務に確認し、申請手続きを依頼しましょう。
Q3. 時短勤務にすると昇進・昇格に影響しますか?
法律上、時短勤務を理由とした不利益取扱い(降格・減給・解雇など)は禁止されています。ただし、現実には評価制度によって影響が出るケースもあります。僕自身の経験では、「期待値が低い分、成果を出せば評価は得やすい。ただしアサインされる仕事の幅は狭くなりがち」というジレンマがありました。上司との定期的なすり合わせが大切です。
Q4. 保育園の送り担当を夫婦で分担するコツは?
曜日固定がおすすめです。「月水金はパパ、火木はママ」のように決めておくと、会社側も予定を組みやすくなります。急な変更が必要なときだけ相談すればいいので、毎朝の「今日どっちが送る?」というやり取りがなくなります。
Q5. 時短勤務中に残業を求められたらどう断る?
育児のための所定外労働の制限(残業免除)を申請しておけば、法的に残業を断ることができます。2025年4月の改正で、対象が「3歳未満」から「小学校就学前」に拡大されました。人事部に「所定外労働の制限の申出」を提出しておくのが確実です。
まとめ:制度は「知って使う」、朝は「仕組み化する」
育休から復職して時短勤務をするパパが増えていますが、「制度を取得して終わり」ではなく、日々の朝夕のタイムラインを具体的に設計することが、実は一番大事です。
育児時短就業給付金、柔軟な働き方措置、所定外労働の制限──使える制度はどんどん増えています。でも、制度だけでは朝の保育園送りは回りません。前夜準備、バッファ確保、夫婦のシフト見える化。この3つを仕組みにすることで、「朝が回らない」は確実に改善できます。
同じように時短復職で奮闘しているパパへ。最初の1ヶ月は本当にきついです。でも、3ヶ月経つ頃には「これが日常」になります。焦らず、でも仕組みは早めに作る。それが、僕が2年間の時短勤務で学んだ一番の教訓です。