育休から復職して半年。時短勤務でなんとか毎日を回してはいるけれど、ふと気づく。「あれ、最近の新規プロジェクト、自分の名前入ってないな」──そんな感覚、ありませんか。
実際に育休取った身として言うと、時短復職後に最もじわじわ効いてくるのは、朝のバタバタでも給料の減額でもなく、「重要な仕事が回ってこなくなる」という静かなキャリアリスクです。
今回は、僕自身が復職半年で実感した「時短勤務パパが重要プロジェクトから外される構造」と、それに対して実践した"社内ロビイング"の方法を3つ共有します。
なぜ時短勤務パパは「重要案件」から外されるのか
まず前提として、上司は悪意で外しているわけではありません。むしろ「配慮」のつもりです。
僕が復職初日に上司から言われたのは「思ったより仕事できるね」という、褒め言葉のような複雑な一言でした。同僚に聞いてみたら、男性の時短勤務への期待値がそもそも極端に低かったんです。
これ、評価面では得をします。普通にやるだけで「すごい」と言ってもらえるので。でもキャリア機会の面では完全に損。期待値が低い=重要な仕事を任せるに値しない、という無意識のバイアスが働くからです。
厚生労働省の調査でも、育休復職者の41.1%が「スキルアップや昇進昇格の機会が遠のいた」と感じており、6割以上がキャリア展望を描けないまま復職しているというデータがあります。これは女性だけの問題ではなく、時短を選んだ男性にも等しく降りかかります。
方法1:復職面談で「制約」を先に全部出す
上司にどう切り出したかなんですけど、僕は復職面談で「17時以降のMTGには参加できません」と最初に明言しました。
正直、迷いました。曖昧にしておけば「この会議だけ…」と柔軟に対応できるし、印象も良いかもしれない。でも、曖昧にすると結局「この会議だけ」が積み重なって、時短の意味がなくなるリスクがある。
結果、上司からは「16時までに相談があれば遠慮なく声かけて」と協力的な反応が返ってきました。制約を明示したことで、上司側が「その枠内で何を任せられるか」を考えやすくなったのだと思います。
ポイントは、制約を出すときに「できないこと」だけでなく「できること」もセットで伝えること。「17時以降は無理ですが、午前中の集中時間は以前より確保できています」のように、制約と強みをワンセットにすると、上司の頭の中に「この人に任せられる仕事の形」が浮かびやすくなります。
方法2:月1回の1on1で「やりたい仕事」を自分から言う
時短勤務者がキャリア機会を失う最大の原因は、上司が「忙しそうだから声をかけづらい」と遠慮することです。これは配慮であって悪意ではないぶん、こちらから動かない限り改善しません。
僕がやったのは、月1回の1on1で必ず「次の四半期で関わりたい案件」を1つ挙げること。たとえば「来期の○○プロジェクト、企画フェーズだけでも入れませんか」のように、自分の稼働制約の中で貢献できる範囲を具体的に提案しました。
大事なのは「全部やりたい」ではなく「この部分なら時短でも成果を出せる」と切り分けて提案すること。上司としても「企画フェーズだけなら17時前に終わるから任せられるな」と判断しやすくなります。
方法3:「期待値の低さ」を短期戦略として割り切る
ここまで読んで「結局、時短勤務って不利じゃないか」と思うかもしれません。正直に言えば、短期的には不利です。でも、期待値が低いからこそ活かせる戦略があります。
期待値が低い状態で普通のアウトプットを出すと、評価は「期待以上」になります。この評価の上振れを実績として積み上げながら、1on1で機会を取りに行く──これが僕の復職半年間の基本方針でした。
復職3ヶ月目には、毎朝6時に起きて子どもの朝食を作り、8時半に保育園に送って出社、17時に退勤してお迎えという生活リズムもようやく安定。「生活が安定した人」として上司の信頼を少しずつ得られたことが、キャリア機会の回復につながりました。
2025年の法改正で「時短=キャリア停滞」は変わるか
2025年4月から「育児時短就業給付金」が新設され、2歳未満の子を育てる時短勤務者には賃金の約10%が給付されるようになりました。また、同年10月からは3歳〜小学校就学前の子を持つ従業員に対し、テレワークやフレックスタイムなど柔軟な働き方を2つ以上提供することが全企業に義務化されています。
制度面の整備は進んでいます。ただ、制度があっても「重要な仕事を時短勤務者に任せるかどうか」は上司の裁量に委ねられている部分が大きい。だからこそ、制度に頼るだけでなく、自分からキャリア機会を取りに行く「社内ロビイング」が必要なのです。
FAQ
Q. 時短勤務でも昇進・昇格は可能ですか?
法律上、時短勤務を理由に不利益な取扱いをすることは禁止されています(育児・介護休業法第23条の2)。ただし現実には、重要プロジェクトへのアサインが減ることで間接的に昇進機会が減るケースがあります。1on1で意思表示をすることが重要です。
Q. 上司に「やりたい仕事がある」と言うのは図々しくないですか?
むしろ歓迎されるケースが多いです。上司側も「時短の人に声をかけていいのか分からない」と悩んでいることが多く、本人から意思表示があると調整しやすくなります。
Q. 育児時短就業給付金はいつから・いくらもらえますか?
2025年4月から開始。2歳未満の子を養育しながら時短勤務をしている場合、時短勤務中の賃金の約10%が支給されます。雇用保険から給付されるため、勤務先を通じてハローワークに申請します。
Q. 時短勤務は何歳まで使えますか?
法律上は3歳未満の子を持つ従業員が対象ですが、2025年10月の法改正で3歳〜小学校就学前の子を持つ従業員にも柔軟な働き方の措置(時短・テレワーク等から2つ以上)が義務化されました。会社の制度によってはさらに延長されている場合もあります。
参考文献
- 厚生労働省「育児・介護休業法の改正について(令和7年4月1日・10月1日施行)」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/ikuji/law-amendment/ - HRプロ「6割の育休復職者がキャリア展望を描けず」
https://www.hrpro.co.jp/trend_news.php?news_no=1494 - マネーフォワード「時短勤務で給与はいくら減る?計算方法や2025年の新制度について解説」
https://biz.moneyforward.com/payroll/basic/74357/



