「また有給が足りない」の正体、気づいたら秋だった

時短復職のリアルは、想定外なことばかりです。その中でも最初の年にやってしまった失敗が、有給の使い方でした。

育休から復職した4月から6月は順調でした。息子が保育園に入り、週に1〜2回ペースで発熱の呼び出しがありましたが、「子の看護等休暇があるじゃないか」と特に気にせず、有給も看護等休暇も思いついたほうから使っていた。気づいたら秋口に「有給、あと3日しかない……」という状態になっていたんです。

その後、冬になってインフルエンザシーズンが来て、息子が5日間高熱を出したとき、有給がゼロになりました。欠勤扱いを避けるために、妻が自分の有給を使うことになって、夫婦間に「なんで私が……」という空気が流れた。あれは本当に申し訳なかった。

あのとき知りたかったのは、「どの季節にどっちの休暇を使うべきか」という年間設計の考え方でした。今回は、保育園の感染症カレンダーと2025年改正の子の看護等休暇を組み合わせた、休暇の年間配分の仕組みを整理します。

2025年改正で「子の看護等休暇」はどう変わったのか

まず制度の基本を確認します。2025年4月施行の育児介護休業法改正で、「子の看護等休暇」は大きく変わりました。

改正前後の比較

項目改正前2025年4月以降
対象年齢小学校就学前(6歳未満)小学校3年生修了まで(9歳未満相当)
日数年5日(子2人以上で10日)同じ
取得単位日・半日単位日・半日・時間単位
取得事由病気・けがの看護のみ病気・けが、予防接種・健診、学級閉鎖等の世話、入園式・卒業式
取得除外要件雇用6ヶ月未満も除外可週所定労働日数2日以下のみ除外可

ポイントは2つです。①取得事由が大幅に拡大された(学級閉鎖・入園式も含まれるようになった)、②時間単位取得が可能になった(半日有給を使わずに午前2時間だけ取れる)。

つまり、年5日(子1人の場合)を有給より先に消化する理由が増えています。この「先に看護等休暇を使い切る」という順序設計が、年間を通じた有給温存の核心になります。

保育園の感染症カレンダー:季節別の呼び出しパターン

保育園の感染症には明確な季節パターンがあります。武蔵小杉の保育園に通う年少の息子の様子を観察していると、年間を通じて呼び出しの「質」が変わることがわかってきました。

春(4〜5月):環境変化による発熱が多い

保育園生活が始まった直後の4〜5月は、環境変化による発熱が頻発します。多くは38度台で、半日休めば回復するケースが多い。この時期は「時間単位の看護等休暇(午後だけ早退)」で対応できるケースが多く、有給1日を使うには惜しいタイミングです。

夏(6〜8月):手足口病・ヘルパンギーナ・プール熱

夏のウイルス感染症は特徴的で、手足口病は発疹が消えるまで登園不可(7〜10日程度)、ヘルパンギーナも高熱が3〜4日続きます。ただし、これらは子の看護等休暇の取得事由「病気・けがの看護」に該当するため、看護等休暇を中心に使うべきタイミングです。

秋(9〜11月):RSウイルス・胃腸炎の立ち上がり

9月から10月にかけてRSウイルスが立ち上がり始めます。RSは重症化リスクがあり、年齢が低いほど呼び出し→入院のパターンもゼロではありません。秋はまだ看護等休暇の残日数を確認しながら使うタイミングです。

冬(12〜2月):インフルエンザ・ノロの集中期

実際に育休取った身として言うと、保育園の冬は本当に壮絶です。インフルエンザは発症後5日間登園不可、ノロウイルスは嘔吐下痢が続く間は不可、溶連菌は抗菌薬開始後24時間は不可——と、長期欠席になりやすい感染症が重なります。ここで有給が枯渇していると詰みます。

年間配分3ステップ

Step 1:年度はじめに看護等休暇の消化戦略を決める

4月の最初の1on1や家族会議で、以下のルールを決めておきます。

  • 4〜9月は子の看護等休暇を優先消化する(時間・半日単位を活用して5日分を秋までに使い切るペース)
  • 10月以降の看護等休暇残日数は冬の緊急用バッファ(残っていれば冬の呼び出しにも使えるボーナス)
  • 有給は12〜2月の感染症集中期に温存(インフルエンザで5日以上欠席になっても有給が残っている状態を作る)

子が2人以上いれば看護等休暇は年10日。子1人でも5日を4〜9月で使い切るのは難しくないペースです(月1回弱の呼び出しで十分消化できる)。

Step 2:夫婦で月末5分の棚卸しミーティングを定例化する

看護当番制(奇数週パパ・偶数週ママ)は導入済みでも、休暇残日数の管理を各自に任せていると偏りが生じます。月末に5分だけ使って以下を確認します。

  • 今月の看護等休暇の消化日数(自分・配偶者)
  • 今月の有給消化日数(自分・配偶者)
  • 翌月の感染症リスク(保育園からの「○○が流行しています」のお知らせ)
  • 翌月に「絶対に動けない日」(重要MTG・出張)の先行共有

これを月末のカレンダー確認と一緒に5分でやるだけで、冬に「私の有給が先になくなったじゃないか」という夫婦間の不満が激減します。数字を見ながら話すと、感情論ではなく事実ベースの会話になるんです。

Step 3:2025年改正の時間単位取得を最大限活用する

改正前は「半日単位」が最小でしたが、2025年4月から「時間単位」取得が可能になりました。これは時短勤務者にとって特に有効です。

具体的な活用例:

  • 「午後イチに呼び出し → 13時退勤」→ 13〜17時の4時間分を時間単位看護等休暇で消化(有給は1日も使わない)
  • 「朝9時に呼び出し → 即出発して午後に夫が交代」→ 9〜13時の4時間を看護等休暇(時間単位)で消化
  • 「予防接種のため午前中に半日早退」→ 半日単位で看護等休暇を使う(2025年改正後は予防接種も取得事由)

時間単位取得を使えば、5日間(40時間相当)の看護等休暇を実質10〜15回分として使い回せます。「有給が減る」という感覚なしに子どもに対応できる回数が大幅に増えます。

実践:わが家の年間休暇配分表

時期主な感染症優先する休暇有給の扱い
4〜5月(春)環境変化による発熱看護等休暇(時間・半日単位)温存
6〜8月(夏)手足口病・ヘルパンギーナ・プール熱看護等休暇(日単位)温存
9〜11月(秋)RSウイルス・胃腸炎の立ち上がり看護等休暇(残を確認しながら)保育園行事に使う
12〜2月(冬)インフルエンザ・ノロ・溶連菌看護等休暇(残があれば先に)メイン消化
3月年度末の最後の波看護等休暇(残があれば)リフレッシュに温存

わが家では、4〜9月で看護等休暇5日分を時間・半日単位で消化し(実質10回以上の呼び出し対応)、10月以降の有給は冬の感染症集中期と年度末のリフレッシュ用に温存できました。年間で保育園の呼び出しは10回前後ありましたが、年度末まで有給が枯渇しなかったのはこの設計のおかげです。月末5分の棚卸しで「今月の橘家の休暇使用状況」を夫婦で共有する習慣が、一番効いた仕組みだったと思っています。

よくある質問(FAQ)

Q. 子の看護等休暇は有給ですか?

法律では有給・無給を企業が決めることができます(無給でも違法ではない)。ただし、2025年改正後は有給とする企業が増えています。自社の就業規則を確認するか、人事に直接聞くのが確実です。自分から動かないと誰も教えてくれないのが現実なので、入社や復職のタイミングで確認しておくのがベストです。

Q. 子の看護等休暇の「時間単位取得」は会社が拒否できますか?

2025年4月施行の改正育児介護休業法では、時間単位取得は法律上の権利として規定されています。就業規則に明記がなくても、会社は原則として拒否できません。ただし実務上は人事に「今月から時間単位で申請したいのですが、申請書式を教えてください」と一声かけておくとスムーズです。

Q. 夫婦の看護等休暇の残日数を把握する方法は?

それぞれの給与明細か、自社の勤怠管理システムで確認できます。月末5分の棚卸しミーティングで口頭共有するだけで十分です。Googleスプレッドシートで夫婦共有のシートを作り、「今月の呼び出し回数・使った休暇の種類・残日数」を記録するだけで管理コストはほぼゼロです。

Q. 保育園の学級閉鎖も子の看護等休暇を使えますか?

2025年4月施行の改正で、「感染症に伴う学級閉鎖等の世話」が取得事由に追加されました。保育園のクラスが閉鎖になって子どもを家で見るケースも対象です。ただし「保育園が計画的に閉園している」(お盆休みなど)は対象外です。保育園からの「感染症による閉鎖のお知らせ」の書面を保管しておくと、会社への申請がスムーズです。

Q. 有給を冬に温存しすぎて繰越限度を超えませんか?

年次有給休暇の繰越限度は2年間・最大40日です。年間20日付与の場合、1年で全く使わないと翌年は40日になります。ただし、実際は冬に使う設計なのでそこまで積み上がることはほとんどありません。保育園の感染症カレンダーに沿って使えば、冬に10日前後消化することになるため、翌年の繰越は現実的な範囲に収まります。

参考文献